藍原明治は居酒屋の店主である。下町の小さな店の雇われ店主に甘んじる小市民でもある。
名前はあきはる、と読むのだが、まあメイジメイジ呼ばれる。
自分がその立場であればそう呼ぶであろうから、そうそう拒否もできぬ。
今年で46になるおっさんにとっては別に痛くも痒くもない、と余裕をもって優雅たりたいところだ。
しかし何の縁か乙女の祭典、チョコレート会社の陰謀であるあの日に生を受けてしまった故に、年に一度の生誕祭をあの耳に残るコマーシャルの曲にあわせて祝福されるのは流石に辟易せざるを得ない。
…この年になっても毎年ばか騒ぎを繰り広げつつ祝ってくれる友人がいる、というのは幸せなことなのではあろうが。
カウンターの内側で酔いつぶれている馬鹿が、その友人のうちの一人だ。
とにかく容姿が目立つ。
暇なときにつづく
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